書籍を注文して店舗に届くまでには結構時間がかかる。
だから、彼女たちは高校生が大学入試試験の準備をしているこの時期、彼らが必要とするであろう大学入試用の参考書や問題集を多めに店に置いておく必要があった。
星城高校に通う生徒たちが多く受験するであろう大学を調べて、その大学の赤本を業者に頼んでおくのだ。
明凛はモップを元の場所に戻してから言った。「昨日の夜業者さんに聞いて、リストは作っておいたわ。私のかばんに入ってるよ。それを取り出して目を通してから業者に電話して、急ぎで届けてもらいましょ」
センター入試前から第二次試験が行われる二月、三月あたりは高校生が受験する大学の問題集や、先生から勧められた学習資料などを買いに来るので、彼女たちの本屋は一番忙しい時期だった。
唯花はすでに姉と清水に手伝いに来てもらうよう連絡してある。
唯月の弁当屋のほうは、もう内装業者に連絡済みで、費用ももう相談してありそろそろ工事が始まるのだった。
その工事が始まる前の期間は、唯月は妹の店を数日ほど手伝うことができる。
「見てみるね」
唯花はレジの後ろに行き腰かけると、明凛のかばんからそのリストを見つけて、パソコンをつけ、書籍リストを入力しようとした。
明凛もやって来た。
彼女は椅子を引っ張ってきて、唯花の隣に座ると、唯花がパソコンを起動させるのを見ていた。
パソコンを開いた後、唯花はいつもと同じように音楽アプリを開いた。彼女はここで歌を聞くのが好きなのだ。そして、ある歌を流し始めた。
「またこの曲なの、本当に好きだよね」
「うん、理仁さんの車に乗ってる時に、この曲を流してて、すごくいい歌だなって思ったの」
「そうだ、今日はどうして結城さんは音沙汰ないわけ?」
明凛が突然尋ねた。
唯花はその意味が理解できず尋ねた。「彼が音沙汰なくて何だって?今日は何かあるの?」
明凛は笑って言った。「カレンダー見てみなよ。今日が何の日なのかすぐわかるから」
「二月十四日でしょ、何か特別な日?」
唯花はそう尋ねてからやっと気づき、笑った。「ああ、バレンタインね。私そういうイベント事とか全く気にしないからさ。私と理仁さんは仲良くやってて、毎日がバレンタインデーみたいなものだし。それに、仲が悪ければ、バレンタインデーなんか関係ないしね」
「あなたがイベント事に興味ないのは知っ